香りの観察日記

一般人が個人的な香りの感想を記録していくためのブログです。

ディプティック / タムダオ

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初めて買った香水は、やはりいつになっても特別な存在だ。ディプティックのタムダオ。この一本が私を香りの世界の奥深さを教えてくれた。

当時、香を焚くのがマイブームだった。セージやサンダルウッドの煙の中に居ると優雅な気分になる。神聖な森の中に居るような…ああ、一生この香りで居たい…むしろ私が森になりたい。

しかし、一人暮らしならまだしも一日中焚いているわけにもいかないし、衣服に着いた残り香もすぐ消えてしまう。ならどうすればいいか …

そうだ香水だ。より手軽だし、火災報知器に怯える心配もない。今まで香水など全く興味がなかった私が(高校生時代に周りに流されるようにYSLのベビードールを買ったぐらいか)、森になりたい一心であらゆるサイトで香りについて調べまくり、探し漁った。そしてたどり着いたのがこのタムダオだったのだ。

通販で届いた箱を慎重に慎重に開ける。終始おっかなびっくり、まあ値段が値段だ。あの頃は1万円を超える香水が山ほど存在していたことすら知らなかった。果たしてこれで本当に森になれるのか…。

モノクロの洒落た箱からツヤツヤでコロンとしたボトルが登場する。すごく綺麗だ。オシャンティーすぎる。シンプルなのに風格がある。手に取ってみると心地よいガラスの冷たさ、ボトルを裏から見るとこれまたモノクロの凝ったイラストが描かれていた。超美しい。

ありとあらゆる「初めて」をまずは目で味わった。そして恐る恐るキャップを外して、深呼吸。手首にワンプッシュしてみる。

あ、森だ。…森だ!やばい!今、私、森です!!!

それはまさに私が求めていた森そのものだ。霧がかった森林の木々や土の香りがする。ほのかなスモーキーさが、もともと香を焚いていた筆者にとってより好印象だった。

複数の木々が織り成す混じり気のないシャープなウッディ。終始荘厳な森のイメージだ。公式による香料の紹介では、サンダルウッド、ローズウッド、イタリアンサイプレス、ギンバイカ、ゴアサンダルウッド、ホワイトムスクが挙げられている。確かにサンダルウッドが強いのだが甘さは無い。木の温もり系というよりは静かで冷たい印象だ。

あまりに衝撃的な出会いにより、その後EDPも買い足した。覚えたてのウッディ系というワードでさらに色々と香水を探し始めてしまった。世の中にはまだまだ知らない香りがある。もっともっと出会って、知って、そして纏いたい。

あれからしばらくの時が経ったが、タムダオを纏う度にあの時と同じくらい感動する。えも言われぬ幸福感に満たされる。香り好きの私の原点であり、最も愛する香水の一つだ。

 

追記:ちなみに、こちらで紹介しているのはEDT。EDPはもう少し甘みがあり、サンダルウッドをより感じやすい。個人的にはシャープなEDTが好きだ。