香りの観察日記

一般人が個人的な香りの感想を記録していくためのブログです。

Dior / DUNE

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香水好きにとって、フレグランスのディスコンほど悲しいものは無い。特に名香と呼ばれる香水が廃盤ともなると愛用者の中で大騒ぎになることも多々あるだろう。とはいえありがたい事に、ネットショッピングが普及している現在ならまだ手に入れることが可能な場合も少なくないのも事実だ。(まがい物が混じりこんでいる危険性や価格高騰などの欠点には目を瞑るしかないが)

DiorのDUNE。1991年に発売され猛烈な人気を誇ったが、現在では廃盤になってしまった。トップノートだけで判断してしまえば確かにそういう運びになってしまったのも納得してしまう部分が無いとも言えない。

マンダリンやライム、ツンとしたアルデヒド。その奥にローズウッドがどっしり構えている。うーん、バブリーというか、おばちゃんの匂い。しかもこれがEDP並の強さでそれなりの時間香る。慣れてくれば気にならないのだが、このファーストインプレッションのせいで「あークサ!無理!」となってしまう人は多いだろう。

しかしもう少し待ってみて欲しい。きちんと肌に馴染むまで。本当の香りが完成するまで。トップからミドルに移り変わるという時、おしろいのような粉っぽさが現れ、それを皮切りにいよいよDUNEは本領を発揮するのだ。

サンダルウッドをバックに、ジャスミン、イランイラン、ローズ、リリーなどの花々が咲き乱れ、一気にエキゾチックな香りに変化していく。しかし決してギラギラした雰囲気ではなく、凛として品のある知的なウッディフローラルだ。

オークモスやパチョリの鋭さ、そしてローズウッドとサンダルウッドによる木調のほのかな甘み、アンバーのまろやかさが花々の香りを一層センシュアルにまとめあげた時、肌の上でDUNEは完成する。

ちなみにこの香水の名を和訳すると「砂丘」だ。公式によるとフランスの港町グランヴィルから着想を得た香りというのだから、海辺の砂丘をイメージしたのかもしれない。しかし、個人的にはもっと熱帯の、乾いた砂漠の夜を連想するようなドラマティックな香りだ。

今日はこのまま寝香水としてDUNEと旅に出ようと思う。異国のどこまでも続く砂漠の道を、満天の星空を眺めながら。