香りの観察日記

一般人が個人的な香りの感想を記録していくためのブログです。

コムデギャルソン / BLACK

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そう!まさにこういう香りを探していたの!今の自分が求めているニーズにぴったりの香水に出会った時の高揚感は忘れられない。それが必然的に探していたものでも、はたまた偶然の出会いであっても同じように。

今回は前回の記事で紹介した方法によってたどり着くことが叶ったフレグランスだ。COMME des GARÇONSが2013年に初めて発売した香水、BLACKである。

まずは香りの構成を述べておくと、トップはブラックペッパー、ソマリア産インセンス、フランキンセンス。ミドルにリコリス、バーチタール、ペッパーウッド、レザー。ベースノートとしてシダーウッド、ベチバーが使用されている。ユニセックスとのことだが、香料だけを見るとかなりヘビーなウッディ系の香りが連想できる。さて、実際の香りはどうか。

円柱状のボトルを握り肌にプッシュすると、いきなりペッパーとバルサムの重たくスモーキーな香りがまさに煙のように立ち上る。それは肌の上で刻一刻と煙たさを増しながら徐々に苦く甘くなっていく。不透明なインセンスとかすかに甘いフランキンセンスの絡まり合いがかなり独特だ。例えるなら乾燥した樹木や葉を今まさに燃やしている香り。

うーん。なかなかのカオス感だ。一先ず取っ付きやすさはゼロ。しかし筆者はそんな尖った作品が大好きなのでベリーグッド。幸せバンザイニッコリだ。

ミドルのモワッとした感じが長く続いたあとはラストはただバーチのスモーク臭だけがほんのり残る。故に深みを足したい香りとのコンバイニングにも使えそうだ。

こういった個性的な香りはよく「付ける人を選ぶ」と言われがちだが、あえて作品にこちら側から歩み寄って「選ぶ」側に回りたくなる。

ドライでダーク。男らしさや女らしさといったセクシャリティは全く感じさせない。シルエットは暗く、過去も未来も、現在すら多く語らない。いつも達観した目でタバコをくゆらす、そんな人物像が目に浮かぶ。

とはいえ、実はBLACKは以外にもどんな服装でも案外と香りだけが浮いてしまうことが無い。(香り自体が低めの所にあるせいもあるが)カジュアルにもモードにもドレッシーにも着こなせる。どちらかと言うと重要なのは纏った人の立ち振る舞いの方だったりするのかもしれない。

フレグランスはメイクやファッションと同じように、自分のそもそもの印象を変える手助けをしてくれる。筆者はいくつになっても変身願望が無くならない厨二病なので、その日なりたい自分をイメージしながらフレグランスを選ぶ。

煙のように掴みどころがないものの、どこか印象に残るミステリアスさを演出したい時に、BLACKは活躍してくれる。そんな魔法のアイテムだ。

欲しい系統の香水を見つける方法

ある程度香水が手もとに集まってくると、「こういう香調のものが欲しい!」という探究心がムクムクと湧き上がってくることがある。

筆者の場合は一時期スモーキーな香水をひたすらに探していた。この「スモーキー欲しい発作」の発端はジョーマローンのウード&ベルガモット。この煙っぽさがたまらなく好きで、もっと煙った香りは無いものか…とネットの海に飛び込んだのである。

もしも近くに店舗があるなら実際に足を運んで「スモーキー系の香りはありますか?」と販売員さんに聞けばいいだろう。自らの鼻で確かめるのが最も確実だ。しかし、筆者はドが着くほどの田舎住みなのだ。香水売場といえばドン・キホーテか薬局くらい。それも試香しようにも小さな瓶に湿気たコットンが入っているテスターばかり。そんな状態では香りが分かるはずもない。

故に、いつも他の方のブログやレビューサイトを頼りに香りテスト無しのブラインド買いしている。決して安い買い物では無いのだからかなりリスキーだし損をしていることも承知の上でだ。

しかも香りの感じ方は人それぞれ、特に日本のサイトで香水を紹介しているものは少ない。そんな中、筆者が最も信用し利用している世界最大級の香水レビューサイトを紹介したい。

フレグランティカ、というサイトである。

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https://www.fragrantica.com

サイトの文章は全て英語だが、Chromeのブラウザを使用すると日本語表記で閲覧することができる。(微妙なニュアンスは和訳できていないので英語が得意な方は現文で閲覧することをオススメする)

ここでの香水の探し方はいくつかあるが、今回のように探したい系統から探す場合は画像左のタブを開き、ノート、またはノートから検索をクリックし、メインの香料を入力する事で世界中の香水の中から検索することが出来る。

筆者の場合はスモーク、インセンスの項目をチェックしひたすら検索。そして気になった香水のページに飛んだら必ずチェックしたい項目がある。

まずは商品画像すぐ右の桃色のグラフ。その香りがどのような香調であるのかある程度把握することが出来る。次は具体的な香料を確認だ。トップ、ミドル、ベースが表記されている。実は公式で香料や調香を公表していないフレグランスは比較的多いのだが、それらを嗅ぎ分けている鼻猛者達によって分析されたものだ。そして最後に利用者のレビュー。ここでは実際に香りを確かめた人の意見を見ることが出来る。いい所や悪い所、かなり正直な意見が多い。故に、より明確に香りをイメージし易い。

莫大な量の香水から、現在日本で入手可能で、コレだ!といったものを見つけるのはかなりの時間が必要だが、こういったリサーチにより公式の説明文を鵜呑みにしていきなりフルボトルを購入するよりはまだ安心できるだろう。

今回はほぼフレグランティカの紹介になってしまったが、筆者はこのサイトのおかげで「スモーキー系香水」に無事にたどり着くことが出来た。

肝心のその香りについてはまた次回お話したい。

イヴサンローラン / オピウム

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香水のネーミングやバックグラウンドだけで惹かれてしまうことは無いだろうか。このオピウムはその和訳「阿片」というネーミングから発売当初からフレグランス業界を震撼させた。

デザイナー、イヴサンローラン。彼は、他人の視線を集めるだけの古い美的感覚を覆し、何者にも囚われずに自分らしく生きる新しい美の在り方を作品を通して強く提唱した。流行していたミニスカートではなく男性的なパンツスタイルを数々発売、自らのブランドのショーモデルに黒人を起用するなど革命的とも言えるアプローチ。当時弱者と呼ばれていた女性や肌色の濃い人々も皆対等の権利があり、全ての人種が美しく誇り高くあるべきだという姿勢が功を奏し、爆発的な人気を誇ったデザイナーである。

そんな彼が、中国風をテーマにしたコレクションに合わせ、東洋的かつ官能的な香水を作ろうと考えた。その為に特別プロジェクトを立ち上げ、調香師にジャン=ルイ・シュウザックを迎えて完成したのがこのオピウムだ。

さてその香りはと言うと、かなりスパイシーなオリエンタルに仕上がっている。トップにベルガモット、マンダリンオレンジ、スズラン。ミドルはカーネーションジャスミン、ミルラ。ベースノートにオポポナックス、アンバー、バニラという構成だ。

肌にプッシュすると、まずは柑橘類とシャープな花々の混じりあったフルーティで漢方っぽいオープニング。なかなかに複雑な香りなのだが、一言で表すと炭酸強めの冷えたコーラの栓を抜いた時の匂いといえば分かりやすいかもしれない。

時間が経つにつれて薬っぽさは薄らいでゆき、どんどんスパイスの芳香と樹脂の絡まりあったシャープでエキゾチックな甘辛さが出てくる。これがたまらなく官能的だ。だらしないエロティックさではなく妖艶で高貴な美しさ。一瞬でクラっと落ちてしまいそうな、まさに魔性の香りと表現するのが相応しいだろう。

ラストに向かって、アンバー、そしてミルラやオポポナックスのスモーキーな樹脂類が尖った部分をゆっくりと丸く包み込んでいく。芯が強く誰にも心を開かない、そんな人がふと見せた笑顔のような、心を揺さぶられる優しさを感じられる香りだ。

耐久性にも長けており、以上の変化をじっくりと楽しむことが出来る。オリエンタル系の香りはラストに向かうにつれて甘々な感じになるものが多いけれど、オピウムは最後まで凛とした印象を失わないのが素晴らしい。他に類を見ない作品の一つだ。

「阿片」。このあまりに危ういネーミングに対し、当時のプロジェクト関係者は猛反対したという。今すぐ名前を変えるべきだとイヴに詰め寄ったが、彼は決してその意志を曲げなかった。

「名前を変えるくらいならノーネームでいい」と。

そんなバックグラウンドを思うと、調香の一つ一つに意味があるように思える。フルーティやスパイスは強さを、バルサミックな甘さは気高さを、そしてラストはふくよかながら洗練された本当の優しさを。

性別、人種、そんなものに縛られなくていい。いつだって君は君だ。誇り高く生きよう、それが一番美しいのだから。

オピウムという作品は、今を生きる人々へのイヴサンローランからのメッセージそのものなのかもしれない。

 


 

CHANEL / NO.19 EDP

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コレクションの中に必ず1つは持っておきたい香りといえば、TPO問わずに纏えるものだろう。かと言ってありきたり過ぎても面白くないので、以外にコレだというものに出会うのは難しかったりする。

他者に不快な思いをさせず、かつ美しい香りだと感じる、究極の万能香水として特筆して気に入っているのがこのNO.19のオードパルファムだ。

トップはジャスミンベルガモットとグリーンノートによる爽やかな幕開け。 ミドルからはアイリス、スイセン、ローズ、スズラン、イランイランなどのフローラルが優しく混ざり合い、ほんのり甘くパウダリーな雰囲気になってくる。 ベースのパチョリ、サンダルウッド、オークモスは後ろの方で香っているが、ウッディ系の図太い主張をするのではなく、全体の奥行きを作る役割を果たしているように思える。

一見すると、クリアさとパウダリーさは相反する香り立ちに思えるが、互いが絶妙なバランスで釣り合っているおかげか、とても優しく上品な印象だ。 カジュアルすぎず、気高すぎない。 服装、年齢、性別に拘らず、人を選ばない。どこにでも気負わず纏っていける、いい意味での取っ付きやすさや懐の深さがある。 持続性や拡散性の面においても計算され尽くされたかのように、かなりの耐久力がありながら拡散性に関しては弱め、ふんわり肌の近くに漂っており、身動きを取るたびにさりげなく香る。

香水はただ強く長く主張していればいいというものでは無い。 「つけ直しが必要無い程度に長く、けれどさりげなく」。どんな1日にも適切な立ち位置で寄り添ってくれるのが嬉しい。

1970年から愛され続ける作品でありながら、古臭さは全く感じない。むしろ奇をてらうことのない純粋な美しさに毎度うっとりする。 時代を超え、今もなお現役ランナーであるNO.19。人々を飽きさせず魅了し続けるのも納得だ。



セルジュルタンス/ニュイ ドゥ セロファン

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筆者はフローラル系がどうも苦手だ。というか食わず嫌いしている節がある。フローラルといえばキュートで可憐、はたまたゴージャスで華やか、そんなフェミニンなイメージが自分と掛け離れすぎていてなかなか挑戦することが出来ない。

そんな私が「ここのフローラルなら大丈夫だろう」とブラインド購入した香水がいくつかある。今回はその中の一つ、セルジュルタンスのニュイドゥセロファンの話をしたい。

セルジュルタンスの香りは複雑でクセがあるものが多く、誰もがいい香りだと言うものは少ない。しかしニュイドゥセロファンはその中でも比較的纏いやすいフレグランスだと思う。とはいえ、クセが無い訳では無いが。

和訳すると「セロファンの夜」。メインの香料は金木犀だ。薄暗いヴェールの下の金木犀ジャスミン、ムスク、粉っぽい石鹸類の香り。もっと詳しくノートを分析したかったのだが、あまりに複雑すぎて筆者の鼻では他の香料を嗅ぎ分けるのは不可能だった。しかもストレートな「いい香り」で終わることが出来ない。考えれば考えるほど訳が分からなくなる。しかし、不思議なのは、香る度に脳裏にあらゆる情景が浮かんでくることだ。

薄汚い夜の街、ビルの間に僅かに見える星々、ホテル街を吹く風、一仕事を終えた女の俯いた横顔、汚れた路地裏に咲く花、慣れないシャンプーやボディソープの残り香。

ルタンスの香りはいつも何かを思い出させ、纏った者をイマジネーションの世界へと引きずり込む。ニュイドゥセロファンはどこか後ろめたく美しい。

そして決して重たい香料を使用していないにも関わらず一貫して夜の印象が付きまとうのは、おそらく全体的にモヤがかっていてシャープさや明るさが無いからだろう。だがそこがいい。ソーピーな香水は山ほどあるが、ここまでミステリアスな石鹸系の香りは初めてだ。

日が暮れて風が少し冷たいなと感じた時、このフレグランスを纏いたくなる。夏の夜のひと時に、一人センチメンタルな空想に浸るのはなかなか楽しいものだ。

 


 

ディプティック / タムダオ

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初めて買った香水は、やはりいつになっても特別な存在だ。ディプティックのタムダオ。この一本が私を香りの世界の奥深さを教えてくれた。

当時、香を焚くのがマイブームだった。セージやサンダルウッドの煙の中に居ると優雅な気分になる。神聖な森の中に居るような…ああ、一生この香りで居たい…むしろ私が森になりたい。

しかし、一人暮らしならまだしも一日中焚いているわけにもいかないし、衣服に着いた残り香もすぐ消えてしまう。ならどうすればいいか …

そうだ香水だ。より手軽だし、火災報知器に怯える心配もない。今まで香水など全く興味がなかった私が(高校生時代に周りに流されるようにYSLのベビードールを買ったぐらいか)、森になりたい一心であらゆるサイトで香りについて調べまくり、探し漁った。そしてたどり着いたのがこのタムダオだったのだ。

通販で届いた箱を慎重に慎重に開ける。終始おっかなびっくり、まあ値段が値段だ。あの頃は1万円を超える香水が山ほど存在していたことすら知らなかった。果たしてこれで本当に森になれるのか…。

モノクロの洒落た箱からツヤツヤでコロンとしたボトルが登場する。すごく綺麗だ。オシャンティーすぎる。シンプルなのに風格がある。手に取ってみると心地よいガラスの冷たさ、ボトルを裏から見るとこれまたモノクロの凝ったイラストが描かれていた。超美しい。

ありとあらゆる「初めて」をまずは目で味わった。そして恐る恐るキャップを外して、深呼吸。手首にワンプッシュしてみる。

あ、森だ。…森だ!やばい!今、私、森です!!!

それはまさに私が求めていた森そのものだ。霧がかった森林の木々や土の香りがする。ほのかなスモーキーさが、もともと香を焚いていた筆者にとってより好印象だった。

複数の木々が織り成す混じり気のないシャープなウッディ。終始荘厳な森のイメージだ。公式による香料の紹介では、サンダルウッド、ローズウッド、イタリアンサイプレス、ギンバイカ、ゴアサンダルウッド、ホワイトムスクが挙げられている。確かにサンダルウッドが強いのだが甘さは無い。木の温もり系というよりは静かで冷たい印象だ。

あまりに衝撃的な出会いにより、その後EDPも買い足した。覚えたてのウッディ系というワードでさらに色々と香水を探し始めてしまった。世の中にはまだまだ知らない香りがある。もっともっと出会って、知って、そして纏いたい。

あれからしばらくの時が経ったが、タムダオを纏う度にあの時と同じくらい感動する。えも言われぬ幸福感に満たされる。香り好きの私の原点であり、最も愛する香水の一つだ。

 

追記:ちなみに、こちらで紹介しているのはEDT。EDPはもう少し甘みがあり、サンダルウッドをより感じやすい。個人的にはシャープなEDTが好きだ。

 


 

アルマフ / Club De Nuit Intense Man

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クラブ ドゥ ニュイ インテンス マン。

この香りを一言で表すと、スモーキーなパイナップル。男らしくセクシーでくどすぎない。俗に言う「女受けの良い」部類の香りだと思う。

個人的にはフレグランスに対してそういう表現を使うのは好きではないのだが、まあ確かにこんな香りの男性が居たら確かに好印象かもなあとは感じる。

無臭を美とする日本においてフレグランスが必要とされる場面は少ないが、異性を落とす!といったような場面での需要はある程度あるようだ。モテ香水。似非フェロモン。そんな用途で香水を使用する一定層の人達は、おそらく香りそのものの魅力には目を向けないし興味もないだろう。

ああ、もったいない…。ただただそう思う。鼻がある程度肥えて、良い香りを探すにあたって、どうしてもそんな不名誉なレッテルを貼られたフレグランスはなんとなく倦厭しがちだ。その中にも素晴らしい香りが沢山あるのだが、天邪鬼精神というのだろうか、なんとなく手が伸びにくい。

今回紹介する香りは、俗称モテ香水であり、かのクリードのアヴァントゥスに似ていることで有名になった香りでもある。つまり、二重の色眼鏡越しに評価されてしまうことも少なからず…かもしれない。

しかし筆者は幸か不幸か女であり、かつ本家アヴァントゥスの香りを知らない。なので、前置きが長くなってしまったが「Club De Nuit Intense Man(以下CDNI)」そのものの印象を書き連ねていきたい。

オープニングはレモンを筆頭にパイナップル、ライム、ブラックカラント、グリーンアップルなどのフレッシュなフルーティシトラス。その爽やかさを楽しんでいると、すぐにバーチやパチョリの土や煙っぽさと共にジャスミンやローズのフローラルが追いかけてくる。

筆者はどうもこのミドルだけが好きになれない。レザー調の煙たさ、フルーティなフローラルが絡まり合う。なんというか、男っぽくかなりセクシーだ。決して悪い香りなわけではないのだが、個人的に何故かタクシーの中の匂いを思い出してしまうのがよろしくない。今の肌の上では香り達が上手くバランスを取れていない印象だ。

その後、肌には渋みのあるスモークウッディが残る。そしてこの香りが驚くほど長く続く。全体のコストパフォーマンスに関しては最強クラスだろう。

筆者はこの香りを専らコンバイニングに使用している。単体での使用はこの季節だとバーチとパチョリばかりが前に出過ぎる気がするからだ。しかしこれは欠点ではない。これらのウッドノートは香りに奥行と深みを与えてくれる。

メインの香りを纏う前にCDNIを肌に馴染ませ、スモーキーさが際立ってきた頃にメインの香りを重ねる。もちろん相性の善し悪しはあるが、ある時はメインの持続性を飛躍的にアップさせ、またある時は超ポップな香りをアンニュイでミステリアスな香りに変化させた。元々コンバイニングはあまりしなかったのだが、フレグランスの新しい楽しみ方を教えてもらった気がする。

一時は正直、ミドルがあまりに苦手で手放してしまおうかと思っていた。しかしすぐにその判断をしなくてよかったと思っている。現在はメインでの活躍の機会はあまりないが、もう少し涼しい季節になった頃に主役としてどんな表情を見せてくれるか非常に楽しみなフレグランスである。